対象となる疾患・症状

医療マッサージの対象となるのは、様々な疾患により、筋肉の緊張や筋力の低下、関節の強張りなどがある方です。中でも、以下の5つの疾患群の患者様が多くなっています。

1. 脳性麻痺(CP)

お母さんのお腹の中にいる間や、お産の時、または生まれて間もない時期に、何らかの原因で脳の運動野が傷付くことで発生した、筋麻痺やその他の神経障害などの一連の症状を差します。

脳の損傷自体は進行しませんが、麻痺している手足の筋肉が硬くなったり、身体の成長に伴い骨が変形したり、関節が強張ったりします。出来る限り早期にマッサージなどを始めることで、その後の症状の経過が大きく変わってきます。

特徴的な症状
  • 手足に麻痺があり、動かせない(動かししづらい)
  • 筋肉が異常に硬く、関節もガチガチ
  • 手足が勝手にピクピク動く、身体がよじれる
  • 視力が弱い

2. 脳質周囲白質軟化症(PVL)

早産児などで脳への血流が不足することにより、脳質周囲の白質で脳病変(壊死など)が発生した症状を差します。しばしば脳性麻痺の原因となります。一般的には、PVLの範囲が広いほど重症と言われていますが、実際には画像所見と症状が大きく異なることもよくあります。

脳の発達が著しい幼少期(出来れば2歳まで)よりマッサージやリハビリを始めることで、脳の他の部位が損傷した機能の働きを補い、奇跡的な改善を見せることがあります。

特徴的な症状
  • 足の筋肉が硬直して動かせない
    (脳性麻痺に至った場合は、前述の項目を参照)

3. 筋ジストロフィー(CMD)

進行性の筋力低下を引き起こす遺伝性の筋疾患の総称です。ほとんどが男児に発生します。先天的に筋力低下が見られるケースと、2~3歳頃から小児期、青年期に突然発症するケースが多いです。

マッサージをすることで、脊柱の変形(側弯)を予防したり、関節の強張りを緩めたり、膨らんだふくらはぎの痛みを取り除いたりすることができます。

特徴的な症状
  • 歩き始めるのが遅い、急に足取りがおぼつかなくなるなど、全身の筋力がどんどん弱くなっていく
  • ふくらはぎの筋肉がパンパンに膨らみ、痛む

4. その他の染色体異常

染色体が重複(トリソミー)してしまうなどの構造異常により、先天的に発症する障がいを表します。顔つきが特徴的で、ダウン症候群(21トリソミー)や、女児に多い18トリソミー、13トリソミーなどがあります。

症状の経過は様々で、ダウン症の場合はマッサージをすることで筋肉の緊張や関節の拘縮などが比較的早期に改善されています。

特徴的な症状
  • 筋肉の緊張が弱い(首すわりが遅い、お座りがなかなかできないなど)
  • つま先が内向き(内反:ないはん)

5. てんかん

代謝障害や構造異常、発達障害などが原因で、脳内で異常な放電(てんかん脳波)が起き、けいれんや不随意運動、意識の消失などを一時的に起こします。

てんかんの発作が原因で脳性麻痺や運動機能障がいを発症するケースと、脳性麻痺によりてんかん脳波を持つケースに分かれます。

マッサージをすることで「てんかんの発作が起き難くなった」という患者様の声もあります。

特徴的な症状
  • 意識が飛び、全身が震えたり、けいれんしたりする
  • 手足がつっぱったり、身体がねじれたりする